加藤アカツキ:ザンゾウアパートメント201号

第五回「営業その1」

今日も今日とてこんにちわ。加藤アカツキです、皆さん乗ってますか?

僕は近所の自転車屋のセールが始まって、財布の中身がエラいことになりそうです。

作品集

さてさて、前回は僕のイラストレーターとしての初仕事について語らせていただきましたが、いかがでしたでしょうか?こうして僕もイラストレーターとしてデビューを飾ることとなったわけですが、無事初仕事を迎えたからといって、イラストレーターとして生活できるようになったということではありません。一回や二回、絵を描いてお金を貰ったところで、都会で生活していくほどの生計は成り立ちませんから、今後も継続的に仕事をこなしていく必要があります。

絵描きとしてお金を得る方法は大きく分けて二通り。

“絵を描いて、買ってくれる人を探す”方法と、”仕事の発注を受けて、ギャランティを頂く”方法です。

普段僕が生業としているのは主に後者のほう。

つまり、書籍の表紙を描いたり、ゲームのキャラクターデザインをしたり、専門学校で講師をしたり……といった仕事は、まずはその仕事を発注してくれるクライアントさんがいなければなりません。

そして、何かお仕事を発注したいと思っているクライアントさんが居たとしても、その方が自分のことを認知してくれていなければ、仕事の依頼はやってきません。ではどうすれば自分のことを知って貰えるのでしょう?

ズバリ!営業です。

営業というとネクタイとスーツで決めた営業マンが、住宅を一軒ずつ周って商品の説明をしながら売って歩く……と言うようなものを想像する方も多いでしょうか。まぁ”持込み”という方法に限って言えば、それとほぼ同じ要領です。

会社(編集部)にアポを取り付けて、自分の商品(イラスト)を売り込みに行くわけですから、前述の営業マンとやっていることは同じです。

持ち込みに限らず、イラストレーターとしての営業活動は、一般企業が販売活動のために行うそれと、なんら変わりはありません。

自分という人間を知ってもらい、商品の素晴らしさを認めてもらい、対価を払って買っていただく。 これに尽きると思います。

そんなこんなで営業の方法には様々な方法がありますが、今回は件の”持ち込み”について話したいと思います。

インターネットの普及でクリエイター発掘の場が多様化しつつある昨今、やや廃れ気味な感は否めませんが、自分が希望する方向性の会社にダイレクトに届けることができたり、編集さんの評価やご意見を聞けるといった、持ち込みならではのメリットもたくさんあるのです。

さて、持ち込みの手順などですが、一般的には

1.自分の希望する会社を探す。

2.電話やメールでアポを取り付ける。

3.担当の方に会って、作品を見てもらう。

といった具合でしょうか。

作品集

当然ですが、持ち込み先を決める際には必ず相手先のことを調べ、自分のやりたいことと合致しているかを検討しましょう。数打てば当たるとも言いますが、お互いの時間を無駄に浪費するのは効率的ではありませんし、相手先のことを何も調べず、全く方向性の違うものを持っていっては印象が悪いです。当然遅刻も厳禁です。

一般的に……と書いたのは、他にも色々な方法がありまして、例えば僕は編集部にコネのある知人に頼んで紹介をして貰ったり、付き合い先の会社が某出版社に取材に行くから……ということで無理を言って同行させてもらったこともあります。持っているコネはフルに使いましょう。

さぁそして、持ち込んで作品を見てもらう以上は当然、作品集を作って持っていかなければいけません。

多くの場合、見てもらう作品集は相手先に預かってもらうことになるので、複製が可能なものを持っていきましょう。 ちなみに写真のものは僕が学生時代に作った作品集です。

基本的に僕はCGで絵を描くので、自宅のプリンターで刷ったイラストを、文房具屋さんなどで売っているバインダーでまとめて持って行きました。何枚ぐらいの絵を持っていけばよいのか……というのは決まっておりませんが、最低でも10枚以上、キャラクターであれば老若男女、シチュエーションなども様々に描き分けて持っていくのが良いかと思います。

ただ、あまり多すぎても見る側が疲れて要点をしぼれなくなってしまうのでご注意を。

作品集は持ち込みに行く意外にも、多くの場面で必要になります。専門学校などに所属していれば、多くの業界関係者の方々が頻繁に来校されますので、それだけ人に見てもらう機会も増えます。僕の母校AMGでもそうでしたが、学校によっては編集部品評会なども行っているので、こちらから持ち込みに行かなくても、向こうから”良い人材はいないか?”と探しに来ていただけるわけですね。

scrap

現在、僕も仕事では多くの方々と関わることになりますが、初見の方々には今でも必ず作品集を配るようにしています。

とは言え、手作りの作品集をそうそう頻繁にバラまいていてはコストも莫大なものになってしまいますので、僕は同人誌という形でイラスト集を作り、それを営業用に配るようにしました。これならば一冊あたりのコストは手刷りの何分の一かで済みますし、商業印刷レベルの綺麗な作品を見てもらうことができます。

と、そんな僕が営業用に使っている同人誌が現在、計ったかのようなタイミングで恵文社さまにて絶賛お取り扱い中!もちろん通販も可能です(笑)。これを読んで興味をお持ちになられた方は、是非ご利用くださいね。
⇒恵文社(http://www.keibunshakoutari.com/)

それでは、次回があったらまたお会いしましょう。

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加藤アカツキ(かとう あかつき)
加藤アカツキ
静岡県浜松市出身、東京都杉並区在住。
明治大学理工学部にて物理学を学ぶ傍ら、アミューズメントメディア総合学院キャラクターデザイン学科に入学。在学1年目よりフリーランスのイラストレーターとして活動を始める。以後、書籍カバー、キャラクターデザイン等を中心に活躍中。
残像アパートメント(http://www.k3.dion.ne.jp/~zanzo/)
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