ホッタラケに出来ない!Production I.Gが挑むCGアニメーションの新境地
■世界に通用するCGアニメーションを目指して
――ピクサーやディズニーなどの作品とはまた違う、日本独自の3Dキャラクターアニメーションですか。
石川 そうですね。海外のスタジオとも、スタッフ間の交流や組んでの仕事はあるんですよ。
それでスタッフが言うには、日本のクリエイターの技量は世界の中でもすごいんだけど、個人に頼りすぎるらしいんです。
集団として力を出せれば、海外の有名スタジオと肩を並べる以上のポテンシャルはあると。自分も『ホッタラケの島』を見て、すごい可能性を感じましたね。
――日本のCGアニメーションは世界で通用しますか。
石川 先日、サンディエゴのコミックコンベンション[注:米国最大のコミック関連のイベント]で『HALO』というゲームの話をしたんですが、日本のゲームが持つストーリーの奥深さがアメリカにも浸透してるんです。
ジェームズ・キャメロンの『Avatar』も大人気だったし、CGクリエイターが世界に出ていく新しい道が開ける予感がします。
キャメロン、クエンティン・タランティーノ、ウォシャウスキー兄弟、スピルバーグ……みんな日本のアニメーションやゲームが大好きで、しかも、アニメーターを見てるんですね。I.Gのアニメーターも、昔キャメロンにVIP待遇で招待されたことがあるんですよ。
だから、『ホッタラケの島』でCGを作った会社は全部、間違いなく世界中で通用します。クリエイターを目指す人たちは、どこに入るかより何をやるかを重視してほしいですね。
――そういう状況を踏まえて、I.Gとしての今後の方向性を聞かせていただけますか。
石川 継続の一語に尽きますね。映画って、作ったらばらけてまた集まってまたばらけて集まって……のくり返しなんです。
だから、『ホッタラケの島』でファミリーエンターテインメントをフル3DCGで作った流れを、今回限りで止めちゃいけないんですね。
――石川社長にとって作品を生み出すとはどういうことでしょうか。
石川 作品を通じて人がどんどん成長する姿を見られることが、最大の魅力ですね。
ひとりでは弱点もあるし燃えつきたりもするけど、集団でものを作ると、互いの長所と弱点が補いあって感動を生むし、次へのモチベーションにもつながるんです。
I.Gという会社も自分にとってはひとつの作品だから、規模を大きくすることよりも成長することが楽しいんですよ。そのためにも、常にどうしたら継続できるかを考えています。