「糸曽賢志の一方通行なおしゃべり」

第三回「無意味に見えるものって・・・」

皆さん、こんにちは。人によってはこんばんは。糸曽 賢志(いとそ けんじ)です。

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最近、ボクは無意味に思われがちなものを持ち歩くのに興味津々です。

無意味なものというのは、

などが挙げられます。

これらの魅力は、あくまで「無意味にみえる」ことにあります。

例えば電池の切れた時計をしていると、人に時間を尋ねられた時、答えられません。 きっと、尋ねた人はこう思うはずです。

「電池が切れちゃったんだな」

でも、それからも毎日、その時計をつけて歩いていたら、周りの人は

「なんで、この人こんな無意味なものを身に着けているんだ?」

と思うようになります。

これが実は非常に面白かったりします。 「無意味なもの」に疑問を持つということは、人は常に「物事に意味を求めている」という証明にもなるし、「時計=時間を知るための道具」といった具合に、「万国共通の決まりごと」が出来上がっていることを再確認できるのです。

「おいおい、アンタ何が言いたいんだ?」

というお声が上がる前に、なぜこのお話をしたかを説明させて頂くと、これらは「ものづくり」に応用できると思っているからです。

具体的には「物語をつくる」「絵を描く」際に、見た人皆が「意味のない」と思うものが存在していると、疑問を抱くということです。 疑問を抱くということは、その部分が強調されるので印象に残ります。

あとは、それを効果的に活用すればよいと思います。

例えば、主人公のしている動かない時計は「大事な人からもらった宝物」だとか、「不思議な力が宿ってる」とかですね。

なんにしろ「無意味」→「疑問」→「目立つ」ということです。 これは使わない手はないですよ。

コルボッコロ

ちなみに解決しない疑問は、視聴者にストレスを与えてしまう可能性があるので、疑問の多すぎには気をつけましょう。

「無意味」と思わせ「本来の理由」を伝えるのが最高! と偉そうに語らせて頂いたあとに何なのですが、ボクが持ち歩く「意味のないもの」には、特に真意はなかったりします。 単純に「個性あふれる新しいオシャレのカタチなのでは?」と思っていたり、意味のわからないものに反応する方々を見るのが好きな、ただの「ひねくれもの」です。

どうも、昔から一般的に見て「変なことをしている」と思われることが、好きなようです。

今回はちょっと企画作りから脱線してしまいましたが、この辺でひとりごとを終わりにしたいと思います。お目に触れた方にとって、少しでも参考になっていれば、幸いです。

それでは皆様、またお会いしましょう。

いとそ けんじ

糸曽 賢志(いとそ けんじ)
糸曽 賢志
1978年、広島生まれ。東京造形大学在学中に、アニメ制作会社でアニメーション制作に参加。 20歳で巨匠宮崎駿の弟子となり、ジブリ演出を学ぶ。 大学卒業後はゲーム会社に入社し、イラスト、グラフィックデザイン等に従事。 現在はフリーの映像作家として実写・アニメーションを中心に活動している。 2005年より早稲田大学、本庄市、日本映画監督協会の支援を受けて個人アニメーション制作に 取り組みつつ、早稲田大学内に置かれた自らの研究室で、映像を研究。 文化庁新進芸術家国内研修員にも認定されており、今、最も期待されている若手映画監督の一人である。
加藤英美里×糸曽賢志アニメ 『コルボッコロ』完成インタビュー
クリエイター糸曽賢志がもっとよくわかる!ロングインタビュー
糸曽賢志オフィシャルウェブサイト(http://www.itoso.net/)


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