「糸曽賢志の一方通行なおしゃべり」
連載第三十七回「今年は作品を展開中」
皆さん、こんにちは。人によってはこんばんは。
糸曽 賢志(いとそ けんじ)です。
最近の梅雨の時期になってまいりましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?
最近ボクの近況はといえば、今まで作った作品をもっと人に見ていただく方法を考えております。
このコラムでも何度か申し上げたことですが、作品というのは完成した時点では半分しか出来ていなくて、 それをもとに人に観て頂いたり、第三者の評価を得てこそ次のステップにつながると思っているからです。
もちろん趣味で作品を作っているのなら、そんなことは気にしなくても良いのですが、職業にしている以上 次の話が来ないと生活できなくなったり、不安になったりすると思うので。
というわけで、今年はわりと新しい企画を考えつつ、今までの作品を映画祭に出したりしております。
そんな中、ボクの実写処女作である『セイキロスさんとわたし』が、映画祭にノミネートされました。
「札幌国際短編映画祭」という映画祭なのですが、応募総数2336作品の中から選んでいただき、 さらに今年開催されるエコロジーの「洞爺湖サミット」に合わせてイベント上映されることも決定。
監督は宿泊費を出して頂けるとのことで、ありがたくボクも参加させていただくつもりなので、 また映画祭の内容についてはこちらのコラムでもご紹介できればと思っています。
海外からもたくさん映画が集まっているみたいなので、普段あまり見ることのない海外の新人監督作品も たくさん見て勉強してくるつもりです。
それにしても今年は北海道に縁があるのか「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」での受賞に続き、 北海道で開催の映画祭には2度目の参加になります。
こういう映画祭に参加すると、映画関係者の方にたくさん会えるので横の繋がりも広がるし、何より次の 作品を制作するチャンスが広がるのです。
また最近は、携帯でも映画などが観れる機種が増えてきたということで、ボクのオリジナルアニメ 「コルボッコロ」をDoCoMoの携帯で無料配信するという企画も行いました。
こちらも現在海外と組んで長編脚本を制作中なので、今後もどんどん展開していく予定です。
その他「薔薇は13で待て」というセイキロスの次に作った実写作品も現在DVDをレンタル&販売中なので、 制作インタビューなどもしていただいたりしております。
そんな営業活動に平行して、新作も制作しました。
いつもお世話になっている「dorlisさん」というアーティストさんがエイベックスに移籍されたとのことで、 その第一弾の発売曲のPVを担当させていただいたのです。
今回は実写PVということで「西洋風でレトロ」をテーマに絵画の中のような世界を目指して制作。
個人的にはお気に入りの作品になりました。
現場で気づいたのですが、最近はアニメ制作中心だったのもあり、実写をまるまる監督するのはこれが一年ぶりだったり。
そんなPV「水平線と夕焼けと片想い」が現在ネットで無料公開中です。
http://www.gyao.jp/sityou/catedetail/contents_id/cnt0059246/(GyaO 7月20日まで)
http://jp.youtube.com/watch?v=wehfVOd51TQ(画質悪いですがこちらは無期限)
宜しければご覧ください。
なんだかボクの宣伝みたいな感じになってしまいましたが、作品は作り手の意思次第で見え方がきっと変わってきます。
だから、作品の大きさや雰囲気にあった営業戦略を考えて、世の中に発信していくことが大事なんだと思います。
それが、スタッフへの恩返しにもなるはずですし。
そんな感じで、ボクも作品を作り続けていたいので、一歩一歩進んでいけるよう頑張ります。
今回は「アニメ演出のお仕事シリーズ」から話がそれてしまいましたが、次回はそちらについても書かせていただくつもりです。
それでは、この辺でひとりごとを終わりにしたいと思います。 お目に触れた方にとって、何かが少しでも伝わっていれば、幸いです。
では皆様、またお会いしましょう。
いとそ けんじ
⇒セイキロスさんとわたし(http://www.itoso.net/kenji/seikilos/info01.htm)
⇒コルボッコロ(http://www.itoso.net/kenji/top.html)
⇒YOMIURI ONLIN(ニュースページ、CMも配信中)
- 糸曽 賢志(いとそ けんじ)
- 1978年、広島生まれ。東京造形大学在学中に、アニメ制作会社でアニメーション制作に参加。
20歳で巨匠宮崎駿の弟子となり、ジブリ演出を学ぶ。
大学卒業後はゲーム会社に入社し、イラスト、グラフィックデザイン等に従事。
現在はフリーの映像作家として実写・アニメーションを中心に活動している。
2005年より早稲田大学、本庄市、日本映画監督協会の支援を受けて個人アニメーション制作に
取り組みつつ、早稲田大学内に置かれた自らの研究室で、映像を研究。
文化庁新進芸術家国内研修員にも認定され、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2008で北海道知事賞、第7回東京アニメアワード企業賞を受賞するなど、今、最も期待されている若手映画監督の一人である。
⇒加藤英美里×糸曽賢志アニメ 『コルボッコロ』完成インタビュー
⇒クリエイター糸曽賢志がもっとよくわかる!ロングインタビュー
⇒糸曽賢志オフィシャルウェブサイト(http://www.itoso.net/)