「糸曽賢志の一方通行なおしゃべり」

第十回「脚本」

皆さん、こんにちは。人によってはこんばんは。糸曽 賢志(いとそ けんじ)です。

最近のボクは相変わらず作品制作と論文の執筆に追われながら、新発売のお菓子をチェックしたりして日々を送っております。 タバコもお酒も苦手なボクのささやかな楽しみが甘いものなんですよね。

コルボッコロ

一言でお菓子といっても、世の中には「和菓子」「洋菓子」「駄菓子」など幅広く存在しているのでいくら食べても食べきれませんし。

個人的にはどれも好きなのですが、幼少時に食べていた駄菓子が、今もたまに食べたくなります。

たぶん、あの懐かしさと安っぽさに親近感と手軽さを感じてしまうからなんでしょう。

さてさて、何故こんな作品づくりとまったく関係ないお話をしたかというと、今回お話しようと思った「脚本」についてと、何となく繋がるかなあと思ったからです。

映画にもお菓子と一緒で色々な規模があって、高い予算を使って知名度の高い役者さんや監督さんを起用し制作するものもあれば、単館系の映画館で流すことを目的に制作される小さめの映画もあります。

なかなか最初は予算が少ないことも多いと思いますので、やりたいことを絞って、予算内で出来ることを考えて脚本を書くことも重要な要素になる気がします。

ボクも、昔は派手でハリウッドみたいな映画が一番!と思っていたのですが、最近は、一見地味に思える作品の魅力もわかってきました。

というのも、ボクの中では「地味に見える映画」と「駄菓子」が近いと思っているからです。

何となく懐かしさや親近感を持って見れてしまう点がよく似ています。

人によって考え方は違うと思いますが、ボクにはそう思えるんですよね。

駄菓子のTVCMはあまり見たことないですが、駄菓子好きの間では情報は流れていて、街の駄菓子屋さんに行けばいろんな種類が買えます。

単館系や自主映画もTVCMなどは派手に流さないけど、映画好きの間では盛り上がるように考えて宣伝を流すようにしていて、単館系映画館には人が集まります。

なんだか似てる気がしませんか?

そんな、アットホームさや作り手との距離感を近しく感じられるのが低予算作品の魅力の一つかなって思うんですよね。 ある意味知る人ぞ知るっていう魅力もあるのかも。

そういえば、脚本家になりたいと思っている方は、登竜門である脚本コンテストなどに出す際、作品化したときの予算も考えた方がいいと聞いたことがあります。

実際に受賞している作品やドラマになっている作品は、プロデューサーが脚本を読んで予算を割り出しやすかったというのも基準の一つだそうです。

多分新人作家の書いた脚本に出せる予算は、そんなに大きいものではないのでプロとしてそこを理解して書けているかを見ているのかなってボクは思います。

といっても、ボクもまわりの脚本家さん達から色々教えていただいたりしてるだけなので、あまり偉そうなことは言えないんですけれどね。

何にしろ、超大作にしても、そうでなくても規模と予算に合った脚本が必要であり、実際に流す場所や宣伝方法も脚本や企画にあわせて変えていく必要があるってことですね。

コルボッコロ

あ、あともしこれを読んでなるほどなあ、と思ってくださった方がいれば駄菓子屋に行ってみることをお勧めします。きっと、何か発見があるはず。

数百円もあれば山のように買える、まさに夢の世界ですし、さらに、駄菓子屋で子供がお菓子を迷っている横で、大量にまとめ買いを見せたりして、つかの間のセレブ感も味わえます。 我ながら考えていることが小さいですね。

今回は、この辺でひとりごとを終わりにしたいと思います。 お目に触れた方にとって、少しでも参考になっていれば、幸いです。

ちなみに今回載せてもらっている絵は、ボクの今制作中のオリジナルアニメ『コルボッコロ』の画像です。

そのうち、近況報告も含めて『コルボッコロ』のメイキングや裏話なんかもお話しようかなって思っています。

いとそ けんじ

糸曽 賢志(いとそ けんじ)
糸曽 賢志
1978年、広島生まれ。東京造形大学在学中に、アニメ制作会社でアニメーション制作に参加。 20歳で巨匠宮崎駿の弟子となり、ジブリ演出を学ぶ。 大学卒業後はゲーム会社に入社し、イラスト、グラフィックデザイン等に従事。 現在はフリーの映像作家として実写・アニメーションを中心に活動している。 2005年より早稲田大学、本庄市、日本映画監督協会の支援を受けて個人アニメーション制作に 取り組みつつ、早稲田大学内に置かれた自らの研究室で、映像を研究。 文化庁新進芸術家国内研修員にも認定されており、今、最も期待されている若手映画監督の一人である。
加藤英美里×糸曽賢志アニメ 『コルボッコロ』完成インタビュー
クリエイター糸曽賢志がもっとよくわかる!ロングインタビュー
糸曽賢志オフィシャルウェブサイト(http://www.itoso.net/)


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