「糸曽賢志の一方通行なおしゃべり」
第十一回「インターネットによるコンテンツの配信」
皆さん、こんにちは。人によってはこんばんは。糸曽 賢志(いとそ けんじ)です。
最近ボクは、『コルボッコロ』の原画作業と『探偵事務所5』のエフェクト制作に追われる毎日。 両方とも基本的にはスタジオにこもって一人で作業しているので、合間に見るテレビとインターネットが親友になりつつあります。
そういえば流行に便乗してMixiをやっているのですが、コミュニティを活用すると色んな情報を得られるので助かるんですよね。
皆さんも、もしボクを見かけたら気軽に声を掛けてやってください。
さてさて、インターネットが広がりを見せてから、映像や漫画などのコンテンツ産業にも変化が起こり始めました。
ボクは、コンテンツ配信のあり方などに興味があり研究課題の一つにしているので、今回はそのことについて話そうかなって思います。
といっても、普通に本に出ているようなことを語らせて頂くのも面白くないので、ここでは実際に自分が体験したことを中心に書かせていただきますね。
ボクは去年の春に、実写とアニメーションを融合した『セイキロスさんとわたし』という短編作品をBIGLOBEさんにご協力いただいて配信しました。
配信期間は、2005年2月10日~2005年4月30日までの約80日間。 その間にテレビのCMなども放送したこともあって最終的には30万アクセス以上になりました。
様々な宣伝活動による、具体的な宣伝効果の数値はわからないのですが、ボクが一番感じたのはブログの更新率と映像へのアクセス数には関係性があるということです。
映像配信期間に並行して作品の専用ブログを開設し、制作の様子や裏話などを書いていたのですが、その更新率と本編映像の視聴アクセス率の変動を調べた結果、更新回数に比例して試聴アクセス数は伸びていることが分かりました。
実際の数値で言うと、更新日は1.5倍~2倍に向上してます。
ブログという存在が、視聴者の方と制作者の距離を縮めるきっかけになるのかなって思いました。
去年の夏に公開された『時をかける少女』でも、試写会にブログを持っている人を優先的に招待したそうです。 鑑賞後に感想をブログに書いてもらうという手法で口コミ宣伝をするのが目的だったようですが、こういった宣伝方法はこれからも活用されていくような気がします。
そういうボク自身もブログをかれこれ2年くらい書いております。
最初はぜんぜん誰も訪れてくれなかったのに、今では多いときは1日1000アクセスくらいの時もあります。
でも、更新が滞ると、50アクセスとかに減ってしまうんですけどね……。
来訪者の数が多いほうが良いという、安直な発想は持ちたくありませんが、数値だけで見るとブログを見にきてくださる方が、どれだけマメな更新と継続性を求めているのかはよくわかりますよね。
なんにしろ、ボクは書きたいことを書きながら、来ていただける方が少しでも楽しんでいただけたら嬉しいなと思って気ままに更新し続けております。
その他にも人気のある映像などを色々調べてみると、最近は笑える感じのFlashアニメが大人気のようですね。
そう考えると、少人数で手軽に映像を作って配信できる時代がどんどん形成されている感じがしてオモシロイなあって思います。
なんだか難しそうなお話ばかりしてしまいましたが、最近ずっとネット配信についての論文ばかり書いていたので、ここでもその一部を紹介しようかなって思ってお話させて頂きました。
映像、漫画、小説、イラストなどコンテンツはどんどん求められる時代になってきているので、作り手としては今ある配信手法や宣伝手法を取り入れながら、次に繋ぐ新しい手法も見出さなければいけないんだろうなって思ってます。
今回は、この辺でひとりごとを終わりにしたいと思います。 お目に触れた方にとって、少しでも参考になっていれば、幸いです。
それでは皆様、またお会いしましょう。
いとそ けんじ
- 糸曽 賢志(いとそ けんじ)
- 1978年、広島生まれ。東京造形大学在学中に、アニメ制作会社でアニメーション制作に参加。
20歳で巨匠宮崎駿の弟子となり、ジブリ演出を学ぶ。
大学卒業後はゲーム会社に入社し、イラスト、グラフィックデザイン等に従事。
現在はフリーの映像作家として実写・アニメーションを中心に活動している。
2005年より早稲田大学、本庄市、日本映画監督協会の支援を受けて個人アニメーション制作に
取り組みつつ、早稲田大学内に置かれた自らの研究室で、映像を研究。
文化庁新進芸術家国内研修員にも認定されており、今、最も期待されている若手映画監督の一人である。
⇒加藤英美里×糸曽賢志アニメ 『コルボッコロ』完成インタビュー
⇒クリエイター糸曽賢志がもっとよくわかる!ロングインタビュー
⇒糸曽賢志オフィシャルウェブサイト(http://www.itoso.net/)