連載第四十六回「じんじゃーまん・制作過程03」

皆さん、こんにちは。人によってはこんばんは。

糸曽 賢志(いとそ けんじ)です。

サクラが咲く季節になってまいりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

サクラは綺麗、綺麗と言われていますが、個人的には「そんな言うほどでもねーだろ」と思っていたり……。

「期間限定」「アメリカが認めた花」「イベントと抱合せ」といった様々な要素とマスコミのあおりがサクラの価値を必要以上に引き上げている気がします。

(サクラが好きな方、ゴメンなさい。)

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とは言いつつ、花見には参加してたりするんですけどね。

ボクの最近といえば、TV局のプロデューサーさんと連続ドラマの企画を考えたり、大量に服やら靴やらを買い込んだりしておりました。

あ、あと今月から再びアニメスタジオにお世話になることになりました。

スタジオに机を置かせていただいて、がっつり商業アニメに演出参加するのは1年ぶりですが、 勉強できることはどんどんさせて頂きつつ、今後に繋げていけたら良いなって思っております。

こちらに関してもまたこちらで書いていくつもりです。

さてそんな中、このコラムでは今回はFlashアニメ『ことなかれヒーローじんじゃーまん』についてのアフレコ話をさせて頂こうと思います。

放映は終了している局も多くなって参りましたが、これからはドワンゴさん等でも配信が始まるそうです。

またオフィシャルページでは携帯用壁紙や、裏話などが随時公開中ですのでご興味をお持ちの方はぜひご覧頂ければと思っております。

と、宣伝はこれくらいにして今回はアフレコについてお話します。

この『じんじゃーまん』には、制作の色んな場面でAMGアニメーション学科の学生さんにインターンとして参加して頂いているのですが、声優に関しては全員学生さんに担当して頂きました。

もちろん音響監督さんや収録スタジオなどはプロにお願いしたので、学生さんはホントの収録現場を体験しながら、実績まで作れてしまうという特典付き。

そういう理由もあってか、希望者が殺到し何時間もかけてオーディションを行いました。

その中から選ばれた声優さんたちは、収録日までに脚本を一生懸命読み込んで来てくれたみたいで、思ったよりスムーズに収録は進んだのを覚えています。

さらに、慣れてくると色んなアドリブも飛び出してきて、収録現場は大盛り上がりでした。

特に印象に残っているアドリブは脚本で「新聞を読んでいる」と書いてあるシーンです。

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第8話の冒頭シーンだったのですが、「また総理辞めたか…」というセリフをあててくれました。

制作した時期はちょうど前総理が辞めた時期だったのですが、今の状況から考えるとなんとまあ色々な意味に取れる趣き深いセリフに聞こえます。

他にも本編の尺が1分半しかなかったので、泣く泣く切ったアドリブも多々あるのですが、皆の良い作品にしたいという情熱は伝わってきたので嬉しかったです。

そうやって収録&編集した声を映像に合わせてMAスタジオに持って行き、ダビングして完成したのが、TV放映された映像。

ちなみにMAってのは効果音やセリフ、バックミュージックの音量を調整する作業で、ダビングってのはTV局納品用に専用のビデオテープに録画することで、どちらも専用のスタジオで行います。

実際の制作期間は短かったので、作業しているとあっという間でしたが、この仕事を請け負うことで出会った人たちや繋がったスタジオもあるので、大変だけっだけどやって良かった気はしています。

改めて、作品を作る分だけ発見もあるし、先に繋がるということを認識した次第です。

さてさて色々書かせていただきましたが、今回で「じんじゃーまん」のお話しはおしまい。

お目に触れた方にとって、何かが少しでも伝わっていれば、幸いです。

では皆様、またお会いしましょう。

いとそ けんじ

『ことなかれヒーロー じんじゃーまん』公式ウェブサイト(http://www.amgakuin.co.jp/contents/gingerman/)


糸曽 賢志(いとそ けんじ)
糸曽 賢志
1978年、広島生まれ。東京造形大学在学中に、アニメ制作会社でアニメーション制作に参加。 20歳で巨匠宮崎駿の弟子となり、ジブリ演出を学ぶ。 大学卒業後はゲーム会社に入社し、イラスト、グラフィックデザイン等に従事。 現在はフリーの映像作家として実写・アニメーションを中心に活動している。 2005年より早稲田大学、本庄市、日本映画監督協会の支援を受けて個人アニメーション制作に 取り組みつつ、早稲田大学内に置かれた自らの研究室で、映像を研究。 文化庁新進芸術家国内研修員にも認定され、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2008で北海道知事賞、第7回東京アニメアワード企業賞を受賞するなど、今、最も期待されている若手映画監督の一人である。
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糸曽賢志オフィシャルウェブサイト(http://www.itoso.net/)



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