「糸曽賢志の一方通行なおしゃべり」
第十五回「撮影とタイムシート」
皆さん、こんにちは。人によってはこんばんは。糸曽 賢志(いとそ けんじ)です。
さて、最近のボクはdorlisさんとSOFFetさんの新曲PVの締切に追われております。 さらに今月はコルボッコロも締切月なので寝る時間がほとんどない状況ですが、最後まで手を抜かずに頑張ります!
現在コルボッコロは「原画」「動画」「背景」が終了し、ひたすら撮影とエフェクト作業中。
そんなわけで、今日は「撮影」について少しお話させていただこうと思います。
以前も少し触れた気がしますが、もう一度説明させていただくと、アニメーションにおける撮影というのは「動画」と「背景」をタイムシートを見ながら並べてカット毎にムービーを作成していくことです。
そうやって出来たムービーを最終的にタイミングよく繋いでいく作業が「編集」ですね。
基本的にアニメーションの制作現場では、こういった「撮影」「編集」作業は別の専門家が行うので集団でも意思疎通を図りながら効率よく進められるように、タイムシートが重要になってきます。
タイムシートとは何フレームごとに絵を動かすかなどを原画担当者か演出担当者が書き込んでいるシートのことですが、ボクのように演出から原画・撮影・編集まで全部やってしまうような作家タイプでもタイムシートがあればミスが減るので作るようにしています。
それにタイムシートをきちんと読んだり、修正したりできるようになっていたほうが商業アニメにも携わりやすいですしね。
他に「撮影」で気を付ける事といえば最終的にどういう形式のムービーを作るのかをきちんと決めてから作業を始めるってことです。 ハイビジョンやDV等によって画面のサイズやピクセル比が違ったりするので、DVD用に制作したムービーをパソコンで流すと映像が縦長になったりなどの現象が起きることもあります。
そういった意味で、完成作品をどのように流すかを最初に決められれば一番ですが、そういったことを決められない場合はなるべく大きめのサイズで作っておいて最後に書き出す際にムービー形式を調整する手法を取った方が良いと思います。
ただ、大きいサイズで作ると作業が重くなってしまうのが難点ではあるのですが……。
こういった作業にご興味のお持ちの方は何度が実験をしてみれば、失敗をしながらでも徐々に覚えていけると思いますよ。 ボクもそうやって少しづつ勉強している感じなので。
あ、Adobe社から発売されているAdobe Video Bundeを買えば3D以外なら一通り映像は作れちゃうのでオススメ。 ちなみに、撮影作業はその中のAfterEffectsを使用してます。
そうやって地道に作った『コルボッコロ』のイメージ映像は右のプレイヤーからご覧いただけますので、ご興味をお持ちの方は是非ご覧下さい。
今回はちょっと専門的な話が多くなってしまいました。 分かりにくいと感じさせてしまっていたら、ごめんなさい……。
それでは、この辺でひとりごとを終わりにしたいと思います。 お目に触れた方にとって、何かが少しでも伝わっていれば、幸いです。
それでは皆様、またお会いしましょう。
いとそ けんじ
- 糸曽 賢志(いとそ けんじ)
- 1978年、広島生まれ。東京造形大学在学中に、アニメ制作会社でアニメーション制作に参加。
20歳で巨匠宮崎駿の弟子となり、ジブリ演出を学ぶ。
大学卒業後はゲーム会社に入社し、イラスト、グラフィックデザイン等に従事。
現在はフリーの映像作家として実写・アニメーションを中心に活動している。
2005年より早稲田大学、本庄市、日本映画監督協会の支援を受けて個人アニメーション制作に
取り組みつつ、早稲田大学内に置かれた自らの研究室で、映像を研究。
文化庁新進芸術家国内研修員にも認定されており、今、最も期待されている若手映画監督の一人である。
⇒加藤英美里×糸曽賢志アニメ 『コルボッコロ』完成インタビュー
⇒クリエイター糸曽賢志がもっとよくわかる!ロングインタビュー
⇒糸曽賢志オフィシャルウェブサイト(http://www.itoso.net/)