ぷらちなインタビュー アニメを変えるキャラクターのファッション―ノイタミナ『働きマン』の挑戦」

■ぷらちなインタビュー アニメを変えるキャラクターのファッション―ノイタミナ『働きマン』の挑戦

フジテレビ「ノイタミナ」枠で放映され、好評のうち最終回を迎えた『働きマン』。週刊誌編集部を舞台に、20代後半の女性編集者・松方弘子を中心としたさまざまな“働きマン”を描いたこの作品は、この枠で過去最高の視聴率を記録する人気となりました。

この作品には、他のアニメではなかなか見られないひとつの大きな特徴があります。それは、登場するキャラクターたちがとてもファッショナブルだという点です。

実在する洋服をモチーフにし、小物、ヘアスタイル、ネイルなど、細部にまでこだわったファッションの設定は、どのように産み出されたのでしょうか。監督の小野勝巳さんと、アシスタント・プロデューサーの中野久美子さん(フジテレビ)に話を伺いました。

■ファッションにこだわるマン

――「ノイタミナ」枠では、過去にも『ハチミツとクローバー』や『Paradise kiss』、来年には『のだめカンタービレ』と、女性向けのアニメが放映されています。ただ、それらは学園モノで、この『働きマン』は出版社が舞台です。そこで、これまでの作品とは製作に対する姿勢も違っていたかと思うのですが。

写真:中野久美子アシスタントプロデューサー border=

中野 そうですね。番組製作サイドとしては、遅くまで仕事をして帰った女性が、家に帰ってチャンネルをつけたときに自然に観られるような作品という点は、強く意識しています。これまでだと、夜にアニメをやっていても若い女性はチャンネルを替えてしまうようなイメージがあったと思うんですが、『働きマン』や『ハチクロ』は、視聴者の共感を得られると考えています。

小野 それは、今年の1月に顔合わせしたときから決まっていたので、私も最初から意識していました。

――ファッションに対しての強いこだわりも、そのなかから出てきたわけですよね?

中野 そもそも原作でファッションがとてもリアルでオシャレだったので、アニメ化するときに監督や原作者の安野さんと、キャラのファッションはしっかりしていきたいという話はしていました。ただ、原作がスタートした2年前とは流行も変わってきているじゃないですか。だからアニメは新たに現在のファッションで対応しています。

写真:キャラクター毎に作られた大量のファッション誌のスクラップファイル

――参考にされたのは、実際のファッション誌だそうですが、ファイルがたくさんありますね。

小野 雑誌を見て、素材を選んで切り貼りしてくれたのは、全部中野さんです。

――こういうふうに実際の洋服などを参考にするのは、アニメでは珍しいのでしょうか?

小野 ええ、珍しいですね。アニメでは、だいたいキャラクターの服は決まってますから。一点あれば済むわけです。だけど、『働きマン』の場合は、キャラクターが毎日服を着替えます。 単純に考えても、一話でメイン4人のキャラが3回着替えると12着ですよね。ワンクール11話でも、80着くらいありました。第一話だと弘子は7回も着替えてますから、大変でしたよ(笑)。

――映画やドラマのスタイリングに近いですよね。

写真:小野勝巳監督

中野 そもそも「ノイタミナ」は、連ドラのようなアニメを創るというコンセプトの枠なので、それと同じような感覚で創っていますね。

――ただ、実写ではないので、アニメ独自の工夫も必要なわけですよね?

小野 そうです。たとえば、ひとつのシーンに登場する人物が、白い服ばかりだと、画面全体が変になってしまう。そこで、バランスを見て色を調整していかないといけないんです。そこはすごく気をつけています。それでさらに毎日服を着替えるから、大変なわけです。

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