【ぷらちな】アニメ新表現宣言!新房監督作品の奥にアニメ表現の最先端を見た!『さよなら絶望先生』シャフト《前編》

シャフトインタビュー《前編》

デジタルが、ただデジタルであるというだけで珍しかった時代は、もはや遠い昔。デジタル制作環境の普及により、アニメーションは、創意工夫の時代へと突入しています。この連載ではそうしたアニメーションmeetsデジタルの最前線で日夜戦うスタッフの皆さんに、お話を伺っていきたいと思います。

第一回にご登場いただくのは、『月詠-moonphase-』や『ぱにぽにだっしゅ!』『ネギま!?』『ひだまりスケッチ』そして最新作『さよなら絶望先生』で話題沸騰中のSHAFT(シャフト)の新房昭之さん、尾石達也さん、大沼心さんです。SHAFT節、とファンに称される映像美の秘密にマホっと迫ります!

■チーム新房、発足!

――まずはみなさんがSHAFTの作品に関わられるようになられた経緯をお聞きしたいです。

新房昭之監督

新房 他の会社で仕事をしていたときに、SHAFTにグロスで仕事を受けてもらったことがあったんですが、そのときの仕事への粘り方がとても印象的だったんです。それで、『月詠』の監督の話がきたときに、参加をお願いしてみたのが始まりですね。

大沼 自分は、『月詠』の前に他社の作品で何度か新房さんと組ませてもらっていたんですが、そのときの仕事ぶりで、なぜかあまり詳しくなかったのにデジタル方面の技術がわかる人間だと思われたらしくて(笑)。それで、新房さんがデジタル方面の技術力が高いSHAFTで仕事をするにあたって、声が掛かったんです。

グロス
外注の制作会社が、一話まるごと作品制作を担当すること。

尾石 自分も、最初に『幽☆遊☆白書』でアニメーターとして新房さんと組ませてもらって以来、本数は少ないんですが、たびたび仕事をご一緒していたんですね。それで、もともとSHAFTとは仕事をしていた関係で『月詠』の第1話に原画で参加していたときに、急遽監督に呼ばれて「6話の演出をやってくれ」と言われまして。それまでも演出経験がなかったわけではなかったので、ちょっと軽い気持ちでお引き受けしたら、現在の状況に至った……という具合ですね。

大沼心さん

――SHAFTといえば、仕上げから撮影まで処理できるデジタル制作環境を社内に整えていることで知られています。SHAFTに来られたことで、デジタル技術への対応など苦労したことはなかったのでしょうか?

大沼 実際、自分でやってみるまでは「アニメーションのデジタル作業ってきっとものすごい大層なことをやっているんだろうな」と思っていたんですが、極端なことをいえば、Photoshopで作った画像を連番で繋げていけばアニメができるんですね。そのことに気がついたのは、新房さんから言われて「撮出し」というアニメ制作の工程をデジタル作業でやってみたときなんですが。

――「撮出し」とはなんでしょう? もう少し詳しく伺えますか。

大沼 もともとは、キャラクターの描かれたセルと背景の描かれたセルを組み合わせたり、撮影の作業にまわす段階でセルの仕上げに不備がないかを確認したり、特殊な処理を入れたりする作業のことで、デジタル工程になってからは必要がなくなった作業なんですね。それをデジタルでやる、というのは、フレアとかパラといった画面処理の濃度の指定をしたり、デジタル的な素材の貼り込みをやっていたんです。素材の貼り込みに関しては、最近では撮影のスタッフさんも慣れてきて技術力も上がってきたのでお任せすることが多いんですが、当時は自分でほとんどやっていたんですね。

フレアとかパラ
絵に眩しそうな光がかかったり、色の付いた光が被るような画像効果。撮影の段階で追加される。

――新房さんはデジタル環境にとまどいはなかったんでしょうか?

新房 やはり最初はデジタルは嫌でしたよ。でも使ってみたらやっぱり面白くてね。尾石さんとかは、デジタル環境で色が自由に作れるようになって、アナログ作業より自由度が上がってよかったよね。そこから才能が開花したというところがあると思うよ。

尾石達也さん

尾石 たしかにそういうところはありますね。自分もそれまでアナログ人間だったから、最初はデジタルを信用していなかったんです。けれども、オペレーターさんに上手くイメージが伝われば、デジタル技術はアナログに思考していたことを完璧に再現できる。それに気がついたときに気持ちが変わりました。SHAFTにはすごい優秀なオペレーターさんがいるので、それが可能なんですよ。

大沼 自分の場合はオペレーターさんと分担して作業するんですけれども、尾石さんの場合はつきっきりでやってますよね。

尾石 デジタルはもう、感覚的には完全に紙と同じですね。印刷物ならではのかすれた風合いなんかもほとんどできてしまう。

大沼 ただ、アナログ的なことをデジタルでやろうとすると、逆に大変だったりもする。そこが難しいところなんです。いろいろな場面での技術の蓄積が重要になる。あとは、手を加えることに際限がなくなってしまったことも、大変と言えば大変ですね。

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©久米田康治・講談社/さよなら絶望先生製作委員会




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