■ライトノベル&イラストレーション
■『レジンキャストミルク』のキャラクター作り
実際の『レジンキャストミルク』の創作において、椋本さんはどのように作品作りにかかわっていったのか? 具体的なお話を伺いました。
- 椋本:
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設定やおおまかなプロットは、編集さんも含めた三人で相談したりもしましたが、基本的には藤原さんが全部一人で作っています。私がかかわらせてもらったのは、主にキャラクターの肉付けに関する部分です。
普通は、まず最初に小説ありき、作家さんの書いた小説を元にキャラクターを絵に起こしていきます。だけど『レジンキャストミルク』の場合は、まず「これこれこういうかんじのキャラクター」という曖昧模糊としたエッセンスを投げてもらい、そこにいろんな要素を付けていったんです。たとえば、メインヒロインの城島硝子(一巻のカバーイラストのキャラクター)がプリン好きだったり、リボンを付けていたり、という設定は、私が提案したものです。
- 藤原:
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椋本さんが硝子にリボンを付けたい、というので、主人公の城島晶が硝子にリボンをプレゼントした、という設定を作りました。作詞作曲・藤原、編曲・椋本という感じで、そうしたやり取りをしながらキャラクターを作っていったんです。
僕は文章中心の人間ですから、やっぱり文章なりのキャラの立て方になるんです。一方の椋本さんには、イラストレーターなりのキャラクターの立て方がある。今のリボンの話を例にすれば、僕がキャラクターを作ると「主人公からのヒロインへのプレゼント」というのが先に来るんですね。ところがイラストレーターの椋本さんだと、リボンというビジュアルイメージが先にくる。文章的なキャラの立て方と、イラスト的なキャラの立て方。その二方向から、キャラクターを作っていき、それを相互補完し合ったので、それぞれのキャラクターを奥深いものにすることができたと思います。
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(C)Yu Fujiwara,Kaya Kuramoto/MediaWorks
イラスト/椋本夏夜
『レジンキャストミルク』は、他のライトノベルにくらべ、小説とイラストがより密接な関係をもっています。たとえば、第一巻の刊行に先立って『電撃hp』に掲載された椋本さんによる予告マンガには、二巻以降に登場するキャラクターがすでに顔を出し、あるいは二巻巻頭のコミカルなマンガの中には、さりげなく本編の伏線がはられています。
- 椋本:
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本来は、小説のキャラクターって作家さんのものですから、イラストレーターである私がセリフを勝手に考えるとかって難しいんですね。作家さんから「やってくれ」と頼まれても難しい。だけど、『レジンキャストミルク』は、私一人でキャラクターを動かせるんですよ。
- 藤原:
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巻頭のマンガなんかまさにそうですね。四巻の巻頭マンガは、ほとんど椋本さんがお一人で描いています。最初、大奥の話はどうだろう、と提案したんですが、そこで椋本さんがプリン王国、というアイディアを出された。一応、僕もチェックさせていただだきましたが、僕のイメージとまったくズレてないんです。椋本さんの描く硝子や晶は、ちゃんと僕の考える硝子や晶になっている。