『Halo Legends』東映アニメーション・西尾大介監督&池澤良幸プロデューサーインタビュー

■世界に「届ける」のではなく「届く」作品であるために

――大変興味深いです。絵のお話でいうと、今回のキャラクターデザインは中鶴勝祥さんですね。

「Odd One Out」より

西尾 そうなんですよ。『ドラゴンボールZ』以来のタッグですね。どちらかひとりでも上がらないのに、中鶴さんと西尾が組めばもう上がらないぞと(笑)。

――それはやはり世界を意識して、海外でもメジャーなタイトルである『ドラゴンボール』のコンビを、ということだったのでしょうか?

池澤 そういう計算づくのものではなくて、タイミングとモチベーションの関係ですね。もちろん、頭になかったわけではないですけれど。

西尾 元が複雑な造形だから、鶴ちゃんみたいに、自分のなかで咀嚼して、動き重視のシンプルなキャラクターをポーンと出してくれるという人でないと、なかなか太刀打ちできないんじゃないかなという気はしたんです。実際、でき上がったものはシンプルなキャラクターデザインになっていると思います。キャラクターデザインは、悩めば悩むほど、どんどん複雑になっていく事もあると思うんです。どこまで行けばオーケーなのか、達成感があるのか、意外とそういうところがある。それはストーリーもそう。原作が複雑だと、その複雑な方へ近づけようとしてしまうし。それで、泥沼になってしまうこともあります。

「Odd One Out」より

池澤 スタッフルームでかなり白熱したやりとりをされていましたよね。周りが「こっちは入れないよな」みたいな風になっていると、意外と、三十分くらいすると話がまとまったりしていました。

西尾 鶴ちゃんと離れてから、その間に、僕は僕なりのイメージを作ったし、鶴ちゃんには鶴ちゃんなりの、今携わっている作品のテイストや、あるいは自分のもともと持っていたオリジナリティの部分のイメージがある。それの接点を見つけるのに、悩むところはあったと思います。

池澤 朝、中鶴さんがいるスタジオに行くと、没の紙がいっぱいあるんですよね。それが「これでもいいのにな」とか思ってしまうくらいのクオリティなんです(笑)。そういう風なすごい努力の上で、中鶴さんのキャラクターが上がってくる。監督のコンテもそうです。それが一緒になってくる過程は、冷や汗をかく場面もありますが、楽しいですよね。

――実際の完成したフィルムの中で、気に入っているところは?

「Odd One Out」より

西尾 ここだけ特別というのは他のシーンとくらべてあるわけじゃないのですが、さっきも出た「ママ」のところは面白く仕上がっているかなと思います。1カットだけの出番でしたが、土井美加さんが喜んで演じてくださって。

池澤 声のお話でいうと、高木渉さんも「ウガー!」しかセリフがなくて(笑)。

――感情豊かなウガーでしたよね。

池澤 そうしたら英語版まで「UGAAA」というセリフになってしまったんですよ。

西尾 そうそう。「ガルルルル」といううなり声のSEを「ウガー」と演じていただけなのに、英語でも「UGAAA」に(笑)。

――そうした面も含めて、海外に展開される作品と、国内向けに作る作品との間で意識の違いみたいなものは、西尾監督にはありますか?

西尾 あまりないですね。仕草とか立ち居振る舞いで、あまりにローカルなものはしない、というのは考えはしますけど。でも、僕らが発信したものを理解して見てくれればありがとうございます、みたいな感じで、あまり計算して、俯瞰で作品を捉えて作る、というのは難しいんじゃないかと思いますね。

――『Halo』のゲームはプレイされましたか?

西尾 池澤くんの横でずっと観てました(笑)。ゲームはホントに不得手なので。大変ですよね、リアルタイムに、よくああいう主観の映像を作っていけるよなと思います。それを二次元の作品に置き換えるときに、当然ですがプレッシャーがありますよね。これはぶっちゃけていいますけど、小説を原作にしたって、マンガを原作にしたって、よってたかってアニメはグレードを下げて出す傾向だってあると思います。どうやっても、何かのエレメントがどこか欠けているんですよね。そこを補うのが、映画化をした連中とかアニメを作った連中のプラスαのエレメントなんですよ。それが上手くいかないと、なかなか原作と、少なくとも同等には見てもらえない。だから、ゲーム画面をみながら、何をのっけて、どんな下駄をはかせるか、納得してもらうかというのは考えざるをえないですよね。

西尾大介監督

――では、最後に楽しみに待たれているファンにひとことお願いします。

西尾 今話したように、この連作では、それぞれのスタッフが、それぞれの思い入れで、それぞれの短編を作っていると思います。そのスタッフの含みとか気負いとか、そういうのを期待して欲しいと思います。しかも、ひとつひとつ、メッセージが違うと思うんですよね。それぞれのメッセージの違いも含めて、注目して楽しんでもらえたらな、と思います。……ちょっと優等生な答えだった? 何かギャグ欲しい?(笑)

――いえ、大丈夫です(笑)。ハッキリ言うと要らないです!(笑)素敵な〆をありがとうございました。

(2009年12月17日収録)

インタビュー/構成:前田久 平岩真輔

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