ニトロプラス キラル・でじたろう&淵井鏑インタビュー

ニトロプラス キラル・でじたろう&淵井鏑インタビュー

■『Lamento』――猫たちの物語

――『咎狗の血』の大ヒットを受け、第二弾となる『Lamento』が製作されます。

でじたろう:最終的には、BLゲーム市場は大きくなると信じていましたが、やはり当時の市場は限られていたので、ある程度、採算がとれる規模で作られた作品が『咎狗の血』でした。ところが、おかげさまで『咎狗』は当初の採算ラインの数倍を売り上げることができましたので、今度は、全力をかけて作ろう、と。

Lamento

舞台となるのは、リビカと呼ばれる猫の耳としっぽをもった人々が暮らす世界。
大地の恵みを侵食する「虚ろ」により、猫たちの村は重大な食糧危機に陥る。
蓄えも、同属の死体さえも食いつくし、ついには、村に住む同胞までもが「生贄」として食料にされていく。村の猫たちは、いつ自分の番がくるのか、恐れながら暮らしていた。
主人公のコノエもまたそんな猫の一人。
しかし、ある日、突然、コノエの体に黒い文様が現れる。それは古くから伝われるのろわれた印。 生贄となることを恐れたコノエは、ある日、村を捨てて旅に出る――。

淵井:一作目とはぜんぜんちがうことをやろうと思っていたんです。『咎狗』は近未来を舞台としたリアルな話だったので、今度はもっと幻想的な、ファンタジーとか面白いかな、と考えたんです。

Lamentoスクリーンショット

とはいえ、最初は反発されると思いました。猫耳に対する反応は必ずあるだろう、と。

ネコ耳ってやっぱり、男性が萌えるもの、ユーザーに媚びたものってイメージがあるんですね。

だから、シナリオの中では、単に耳と尻尾をつけるんじゃなくて、彼らは人間がネコ耳をつけてるんじゃなくて、リビカという種族であり、その由来や説明も取り入れてみました。シナリオでも、獣のネコっぽい仕種を入れました。そうすることで、ゲームの発売後は、受け入れてもらえたのではないかと思います。

――シナリオの分量は前作に比べて約二倍。一年の以上の期間をかけて作られた大作です。『咎狗の血』も同様でしたが、本来のルートだけでなく、バッドエンドとなるルートにも力が入っているのも特徴のひとつです。

Lamentoスクリーンショット

淵井:そうですね。ハッピーエンドは、安心して楽しめる幸せな終わり方になりますよね。

いっぽうで「もしも間違ってしまった場合」というのは、予想外で、悲惨で衝撃的ですよね。ファンタジーですから、現実では不可能な残虐な描写も多少は可能なので、バッドエンドにも力を入れています。

 

――前作と比べ、ボリュームアップしたのはシナリオだけではなく、グラフィック面も大幅に強化されています。キャラクターたちの繊細な感情の動きにあわせて、表情はもちろん、ネコの耳や尻尾までも変化し、登場人物の微妙なニュアンスを表現する演出は、他のBLゲームはもちろん、男性向け美少女ゲームでも比類するものがないほど、力が入っているように思います。

でじたろう:BLゲームだからできたことなんですね。

男性向けの美少女ゲームだと、ユーザーに「早く女の子と付き合いたい」あるいは「早くエッチなシーンを見たい」といった指向の方がいたり、大量の積みゲーを消化するためだったり、いろいろな理由からあんまり凝った演出やエフェクトをつけると邪魔だと言われてしまうんです。すごい人になると、そもそもテキストを読まない(笑)。

逆に、女性の方は、非常に丁寧に作品をプレイしてくれて、キャラクターの表情とか、しっぽのうごきとかから、一生懸命ニュアンスをつかもうとしてくれる方が多い印象です。

なので、凝った演出をすれば、ちゃんとそれを読み取ってくれるので、作る側もやりがいがありました。

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