ライトノベル&イラストレーション
第四回 小学館ガガガ文庫編集部 ―ライトノベル文庫誕生の瞬間に迫る―
ライトノベル&イラストレーションでは、これまで、作家、イラストレーター、編集者、営業と、ライトノベルの現場で活躍する様々な人達に迫ってきました。第四回目となる今回は、5月24日に創刊されたばかりの小学館ガガガ文庫編集部の皆さんにお話を伺いました。新規参入が相次ぐライトノベル業界ですが、はたしてそこではどのような挑戦が行われているのか? なかなかうかがい知ることができない「ライトノベルレーベルができるまで」をお聞きします。
■ガガガ文庫が創刊された理由――新しい才能を中心としたレーベルを。
いくつもの人気レーベルがしのぎを削るライトノベルの世界に、大手出版社である小学館が、ゼロから新しいレーベルを立ち上げて参入することになったのは、どのような経緯からなのでしょうか。
湯浅:もともとのはじまりは、小学館のコミック編集局が、今後アニメ化やキャラクター展開の中心となるような新しいコンテンツはないかと模索していく中で、ライトノベルという非常に活気がある市場が目に入ってきたんですね。そこで、小学館でもライトノベルレーベルの立ち上げを検討することになったんです。
最初のスタッフは、僕と『IKKI』の編集長である江上の2人でした。まずは06年4月に新人作家発掘のために立ち上げた小学館ライトノベル大賞の告知を行いまして、それから創刊に向けて、編集部の体制を整えていきました。
作家さんはもちろん、編集者や選考委員やイラストレーターさんも探しつつ、スタートから今日まで、実際に動きながら方向性を確かめてきた感じですね。
まず、雑誌やライトノベルの編集経験がある人間に声をかけてスタッフを募りつつ、『ライトノベルを書く!』という、作家さんへのインタビューを中心としたムック本を作り始めました。
新しいライトノベルのレーベルが立ち上がる際には、既存の読者にアピールするため、すでに活躍中の有名作家の作品がラインナップされることがよくありますが、ガガガ文庫では新人賞出身の作家が大きな存在感を示しています。
湯浅:ガガガ文庫は、ゼロからスタートする新人を中心としたレーベルにしたかったんです。そこで、まず新人賞をつくり、それを盛り上げるために作家志望者、イラストレーター志望者にむけて『ライトノベルを書く!』という本を作ったんですね。
おかげさまで、第1回小学館ライトノベル大賞には、ガガガ文庫部門だけでも1275通が集まり、たくさんの面白い作品と出会うことができました。
創刊時のラインナップにも、大賞を受賞した神崎紫電さんの『マージナル』(『愛と殺意と境界人間』改題)、ガガガ賞を受賞した山川進さんの『学園カゲキ!』という2作品が入っています。さらに来月以降も、佳作入選作などを刊行していく予定です。